日本大学松戸歯学部卒業後札幌医科大学口腔外科学講座に入局し在学中。札幌医科大学大学院修士課程、口腔外科学会会員。
口が大きく開かない、顎の関節の周りが痛む、音がするなどの気になる症状はありませんか? これらの症状が慢性的な場合、顎関節症かもしれません。
日本顎咬合学会の調査によると顎関節症患者の割合は男性9.9%、女性17.3%と女性の方が有病率が高くなっており、また若年層にも多くみられます。患者さんの症状は、自然に治る軽度のものから日常生活に影響が出るほど深刻な状態なものまでさまざまです。
顎関節症の原因は嚙み合わせのズレやストレス、歯ぎしり、くいしばり等により顎関節やその周囲に過度の負担がかかるためと考えられています。特に10代後半から20代くらいの方は顎などの骨格が成長過程にあったり、学業や仕事、環境の変化なども多いことからストレスを強く感じる場合があるためと考えられています。
検査、診断は口の開く大きさや動き方、雑音の有無などの症状のほか、レントゲン、CT、MRIなどの画像撮影により総合的に行います。治療法は痛みが強い場合はまず鎮痛剤や抗炎症剤などの投薬により急性症状を緩和します。その後、嚙み合わせの調整や患者さんに合わせてスプリント(マウスピース)を作成することにより顎関節への負担を軽減させます。また、自分の手でマッサージをしたり、温めて血行を良くするなどの理学療法も効果的です。その他特殊な場合は、局所麻酔下に洗浄や全身麻酔下での外科的手術を行う事もあります。
早期に治療すれば比較的短期間に改善されることも多いですが、放置すると顎関節の骨や軟骨が変形して完治しにくくなることもあります。日常生活において食事やうつぶせ寝など、顎に負担をかけ過ぎないように注意することも大切です。顎関節症は一般的なクリニックでも治療可能ですが、ごくまれに顎関節症以外の病気の場合もあります。気になる症状がある時は早めに歯科医院や口腔外科などの専門医受診をお勧めします。